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本と映画とその他で雑多煮をします

読んだ本と見た映画についての記録。Amazon.co.jpアソシエイト。

コメディかと思ったら大間違い。「帰ってきたヒトラー」ダーヴィト・ヴネント

※この記事にはタイトルの内容に触れる記述があります。

 

 

 

原作は未読。映画のほうを見てきた。単なるコメディ映画だろうと思って見に行ったら、やばい感じだった。これをドイツで作って上映したのはすごい。

 

ストーリーはタイトル通り、アドルフ・ヒトラーが現代にタイムスリップ。しかし本物だと思わない周囲によって、そっくりさんの芸人として扱われ注目を浴びる。そしてヒトラーはその類稀なるカリスマで民衆を引き付けていって…という感じ。

最初のほうは笑ってみていられたんだけれども(軍服をクリーニングに出すところとか)、どんどん笑ってみていられなくなってくる。街中での撮影はアドリブで行われているらしくて、そのせいで映画の中で映像をとっている筈がそれがあたかも実際蘇ったヒトラーのドキュメンタリーのように見えてくるのが怖い。そしてその中でドイツ国民の複雑な本音がぽろりぽろりとでてくる。驚いたのはヒトラーをライトに街の中の人が受け入れているところ。一緒に自撮りをして喜んでいる。そしてユダヤ人の血が混じる秘書役の子も、ヒトラーに嫌悪などなくむしろ懐いているように描かれていることもすごい。(これはアドリブじゃないけど)わたしはあまりドイツの現在のナチスに対する認識がよくわかっていないけれども、若い人にとってはヒトラーはライトに扱える対象になっているのかもしれないなと感じた。どうなのかな。

終盤は少し説明しすぎな気もしたんだけれども、ドイツ国民の中には確かにヒトラーが心の中には存在し続けるのだろうし、劇中のおじさんが言っていたように「正直移民は受け入れたくはないけれども、私たちには過去のことがあるから何も言えない」といった台詞がドイツの複雑さを感じさせる。

けれども世界史の本を読んでいたけれども、正しい道に導く人が必ずしも選挙で選ばれてトップに立つってことは本当にない。正しくない奴も国民は選んでしまう。「だったら選挙をやめるか?」というヒトラーの台詞も頭に残ってる。難しいよね本当。

最後のザヴァツキが入れられた保護室はさながらガス室を想起させてぞっとしたな。

なんだか色々思うところはあるし難しそうと思うかもしれないけれども、合間合間に挟まれるコメディ要素で結構面白く見れるので是非見てもらいたい。

 

原作はまた映画とはちょっと違うっぽいので原作も読みたいっすね。

 

帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)

帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)

 

  

帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)

帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)