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「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」スティーブン・ダルドリー

※この記事にはタイトルの内容に触れる記述があります。

 

 「dTV」ムゲン楽しい映像配信サービス にて視聴。

アメリカ同時多発テロにて父親を亡くした少年、オスカー。彼はアスペルガー症候群を抱えている。父の死の1年後、父が残した(と思い込んだ)鍵を見つけ、その鍵が入っていた封筒に残されたブラックという人物を探すが…という話。

 

父親(夫)を亡くした家族のヒューマンドラマという点ではよくあるものなんだけれども、この映画には家族の死をどうやって乗り越えるのかという点と、主人公のオスカーが自身の特性(アスペルガー症候群)とどう向き合うのかという点のふたつを描いているのが特徴。

特にこのオスカーを許せるか許せないかで最後まで見れるか決まってくると思う。わたしは結構オスカーに近いので(わかる…)と思うことがたくさんあったんだよね。

ただ一般的にはうるさくて生意気で自分の考えを全部説明しなくちゃいけないオスカーのことがちょっと最初のうちはつらいかもしれない。間借人と共に鍵を探しに行くくらいになると、オスカーの独特のルールが弱まるので見やすくなると思う。

この間借人とオスカーのコンビはよかった。老人と子供、という組み合わせだけでいいんだけれども、間借人に父親の姿を重ねて追い求めて傷ついてしまうこと、間借人がオスカーの独自のルールをどんどん破壊していくこと、けれども間借人は話せない設定なので、オスカーにとってうるさい人間ではないということ、などの要素でオスカーをぐんと変化させているのがうまい…となった。

話を戻すけれども、これを単に家族の死を乗り越えるという点だけで見てしまう人は残念だなって思う。オスカーを心を病んでいるというレビューがあったんだけれども、アスペルガーは病気ではなくて性格というか、特性なんだよね。公共機関に乗れない。橋を渡れない、初めての人と話すのも苦手、そしてブランコも危ないから乗れない…苦手なものはたくさんある。けれどもそれを様々な人がオスカーをそっと、知ってか知らずか手助けをする。そして彼はいつの間にかひとりで様々なことができるようになっていく。でも、その助けにオスカー自身が気付くのは、できるようになったその時じゃなくそのあとに気づく。

父親はオスカーと共に遊びながら、彼がきちんと生きていけるように接する。じゃあ母親は?というところで最後の種明かしがとっても心温まった。母親は心配で居ても立っても居られない中、じっとそれに耐えて息子をあたたかく見守りそっと支える。ちょっと泣いちゃったな。

 

涙を誘うために作られた映画、と言われればそれまでだけどただ素直に見てとてもいい映画。見終わった後爽やかな気持ちになれる。

 

 

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本作品の配信情報は2016年11月21日時点のものです。配信が終了している、または見放題が終了している可能性がございますので、現在の配信状況についてはdTVのホームページもしくはアプリをご確認ください。

 

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