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本と映画とその他で雑多煮をします

読んだ本と見た映画についての記録。Amazon.co.jpアソシエイト。

「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 デヴィッド・フィンチャー

※この記事にはタイトルの内容に触れる記述があります。

 

ベンジャミン・バトン 数奇な人生 [DVD]

 

「dTV」ムゲン楽しい映像配信サービス にて視聴。

再びデヴィッド・フィンチャー監督。ぼろぼろ泣いた。この手の話はつらくなるから最近はバランスをとるためにアニメばかり見ているよ。

内容は、知っている人も多い気がする。わたしも見る前から話の概要は耳に入っていた。老人として生まれ、どんどん若返っていくベンジャミン・バトンの生まれてから死ぬまでを描いた映画。

3時間弱という長編だけれども飽きずに見ることができた。最初の病床に就いたおばあちゃんから語られる逆回転する時計の話からぐっとストーリーに引き込まれる。実際の登場人物はふたり。病床のおばあちゃんと、その娘。おばあちゃんの持っていたベンジャミンの日記をもとに、ベンジャミンの人生を回想していく。

 

ベンジャミンは生まれた直後から気味悪がった実の父親から老人ホームに捨てられてしまうわけだけれども、その場所柄もあって多くの死を見る人生として描かれている。そもそも生まれから母親の死をもって生まれてきている。

死にまつわる台詞はいろいろあって印象的だったのは死の間際の船長の台詞。「はらわたが煮えくりかえる。運命の女神を呪いたくなる。でもお迎えが来たら行くしかない」。これはベンジャミンが自分の父親が死ぬときにも言っている台詞。わたしたちには時に唐突に、時に穏やかに死が訪れる。その対比として生きているということが永遠ではなく、少しの間訪れる素晴らしい時間であるということが強調される。

 

この映画では多くの人がベンジャミンと関わる。最愛のデイジー。黒人の継母。ピアノを教えてくれた老婆。船長。実の父親。ロシアで出会った人妻。旅をする黒人。みんな時にベンジャミンが見ている前で、もしくは知らぬ間に死が訪れ、そうでないものはふっとベンジャミンの人生から退場する。そういった関わりが退屈でつまらないと思う人もいるかもしれない。ただここには普遍的な人生の美しさや豊かさや愛おしさが込められていると思う。

 

話の中で何より悲しかったのは、人の死よりもデイジーとは一緒に年をとれないということだったな。二人の年齢が重なる時期の一番楽しい幸せなシーンは、この後来る悲しい出来事をどこまでいっても予感させていて見ていてとてもつらかった。これも長い人生の一瞬のきらめきなんだと思うと、ぐっと胸にきて泣いてしまった。

 

わたしはフォレストガンプも好きなんだけれども、フォレストガンプが好きな人にはおすすめ。物語ではひとりの人間の人生ですが、恐らく人類すべての人生を愛情深く撮った映画です。