本と映画とその他で雑多煮をします

読んだ本と見た映画についての記録。Amazon.co.jpアソシエイト。

2016年4月に読んだ見た本・漫画・映画

一般書籍
  • 「哲学用語図鑑」 田中正人 / 編集監修:斎藤哲也
  • 「思考のトラップ」 デイヴィット・マクレイニー / 訳:安原和見
漫画
映画

 

漫画結構の冊数読んでんなって感じっすね…。

GODが語りだす世界の話。「モナドの領域」筒井康隆

 ※この記事にはタイトルの本の内容に触れる記述があります。

モナドの領域

モナドの領域

 

著者自らがが「わが最高傑作にして、おそらくは最後の長篇」と言っている本作品。

筒井康隆の話はパプリカを読んだことがあるだけでこれで2作目。

大変面白く読みました。
話の導入は推理小説かな、と思いますが、物語はGODの登場であらぬ方向に向かっていきます。
起承転結、物語の骨子がきちんと組み立てられ、GODの語る世界の話を通してぐいぐい物語の中に引っ張られます。

タイトルの【モナド】というのは哲学用語。
ちょうどこの時哲学の本を読んでいたので、そこも含めておもしろかったです。こうやって余所の本で得たものが他の本でリンクするのは読書のよいところだと思います。

さて、モナドゴットフリート・ライプニッツが作った語です。ここで哲学用語図鑑(田中正人 編集監修:斎藤哲也)から一部引用。

世界を精神的な存在と考えるならば、それを分割していくことができます。ライプニッツは、こうした精神的存在の原子に相当する概念をモナドと呼びます。そして世界はこのモナドが調和しあってできていると考えました。モナドは世界が最善になるようにあらかじめ神によってプログラミングされています。(P120)

といった感じで、「モナドの領域」というのはさしずめ「神のプログラミングの領域」、とでも言えられるのかなと思いますが、すきな人はタイトルだけでもわくわくするのではないでしょうか。

たくさん本を書いてこられたベテランだけあって、物語をきちんと読ませる、お勧めできる本です。

資本主義の是非を突き付けられる。「レヴェナント: 蘇えりし者」。

※この記事にはタイトルの映画の内容に触れる記述があります。

 

「レヴェナント: 蘇えりし者」監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

レオナルド・ディカプリオが、アカデミー賞5度目のノミネートではじめて主演男優賞に輝いたことで話題になった「レヴェナント:蘇えりし者」。ちなみに監督もアカデミー賞2年連続で監督賞を取ってます。

舞台は西部開拓時代、白人と原住民族の対立やサバイバル生活を描きつつ、本筋は主人公ヒュー・グラスの復讐劇です。

 

復讐劇だけに留まらない、資本主義の是非を考えさせられる

目に見える物語の筋はとてもシンプルです。
シンプルな筈なのに、語られない部分でいろんなことを考えざるを得ないというのがすごい。

まず白人と原住民の混血である息子が、他人の自己利益追及のために殺されるというのが悲劇的。
多分心温まるヒューマンだったら、彼が白人社会と原住民社会を繋いで双方仲良くやりましたとさ、おしまい、って感じなんだろうけれども彼は殺されてしまいます。

そこからはヒュー・グラスのサバイバル。
白人社会と原住民社会の対比がよく出てきます。

白人側ではお金と契約の話がよく出てくる。仲間を探す人手を得るにも、食事にも、何にでもお金が発生します。
そして、厳しい自然環境下の野宿生活、白人の野宿のシーンでは鍋やテントなど、現代生活の気配がしますが、原住民の野宿シーンではそのような気配はないです。
そして厳しい環境との対比のように出る、砦。
屋根つきの家、火が燃える暖炉、あたたかなお湯、そういったものがふっと出るとわたしたちは安心してしまう。
そこでもうわたしたちはもう戻ることはできない、という気持ちにさせられる。

途中でてくる原住民は時に厳しく、時に神々しく、または無邪気に見えます。
降る雪を舌を出して食べる姿とラストのシーンは特に印象的。
そんな彼らを白人たちは騙し、利用し、時に殺してしまう。はたしてどちらが野蛮なのか?という問いが出てくるのは自然なことだなと思う。(まあ原住民たちもめっちゃ人を殺すんだけど)

 

自然光で撮られた映像も美しい。

美しい映像が血なまぐさいシーンを上手く中和させてます。

ディカプリオは台詞が少なく、ひとりの画面、特に顔を画面いっぱいにアップするシーンが多くて印象的です。

 

イニャリトゥ監督の作品を見たのははわたしはこれで3本目。(バベル・バードマン。レヴェナント)わたしが言うのも何様なんですが、どんどん良くなっていて、暗喩的な表現が素晴らしいんですよね。

 

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あなたの脳があなた自身を騙す方法。「思考のトラップ」デイヴィット・マクレイニー

※この記事にはタイトルの本の内容に触れる記述があります。

 

思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方

思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方

 

わたしは脳みその話がだいすき。

人に共通する思考のパターンや癖、認識、それが行動にどう影響を及ぼすのか、といった話がすきなんですね。行動科学や社会心理学とかかな。

そんなわたしにどストライクだったのがこの「思考のトラップ」という本。

(まじでおもしろい…)と思いながら美容院でパーマをあてられながら半分くらい読んだのを覚えてます。

48のやり方、と書かれている通り、48個の思考の癖(トラップ)を説明しています。

もともとは著者のブログを元に書籍化されているので項目のひとつひとつは短くまとめられていてこの手の本を読んだことない人にも、読みやすく楽しめる内容です。

 

きちんと自分自身で考えてるつもりだと思ってることが実はそんなこともない。

この本の中の一つに根本的帰属の誤りというものがあります。

これ自体はwikipediaにも載っているのでちょっと引用。

根本的な帰属の誤り(こんぽんてきなきぞくのあやまり、: Fundamental attribution error)は、個人の行動を説明するにあたって、気質的または個性的な面を重視しすぎて、状況的な面を軽視しすぎる傾向を言う。対応バイアス(たいおうバイアス、: Correspondence bias)とも。すなわち、人間は人の行動を根拠なくその人の「種類」によって決定されていると見る傾向があり、社会的かつ状況的な影響を軽視する傾向がある。また、自身の行動については逆の見方をする傾向がある。この矛盾を「行為者-観察者バイアス(Actor-Observer bias)」と呼ぶ。*1

書いてあることがちょっと難しく思えるので例をひとつ。

ダイエットができない女友達がいます。その女友達がダイエットをできないのは、女友達が怠惰で努力が足りないからだと思う。

 けれども自分のダイエットが成功しないのは、世の中は美味しいものが溢れてて、おまけに家族や友達がそれを美味しそうに食べ、わたしにも勧めてくるからだ。

そんな風に思ったことはありませんか?

これが【根本的な帰属の誤り】っていうやつ。

他人の行動に関しては他人の人格や内面のせいだ、と思いがちで、自分のことに関しては周りの状況のせいだと思いがち、ということですね。

何となくこういうことってぼんやりと頭の隅に霞のようにあるんだけれども、こんな風にきちんと説明されるとその霞が個体になって掌に落ちるような感覚がたまらんってなる。

 

 わたしたちは脳に騙されまくってる

こういった内容がずっと続くんですけど、当然自分の思考について全然自信が持てなくなってきます。でも、それを知ることによって、要らぬトラブルを避けたり、正しい行動を取れたり、思考のトラップに騙されにくくなることは必ずあると思う。

逆に他人が思考のトラップに騙されてるな!って感じることもある。

災害の時の思考についても少し書かれているので、地震が多い最近ではそのあたりは実践的に役立つこともあるかもしれません。

騙されないためには騙し方を学ぶところから、自分の思考を考え直す楽しめる一冊です。

本と映画の感想ブログを始める

ブログ開設にあたって

毎月本は1冊から3冊くらい、映画は3、4本くらい見る。

毎月見た本と映画のタイトルは記録するけれども、個々の細かな感想を記録するわけではないので、どんどん中身は忘れて行く。

最終的には読んだ本と同じ本をもう1冊買ってしまうはめになるし、(この映画は見た映画なのか、見たいと思っていた映画だったか…)とレンタル屋で悩むはめになる。

 

折角時間を使って本を読み、映画を見、とするのだから、それらを忘れてその時間を無に帰すのではなく、有効に利用しましょうということで、感想ブログを書き始めることにしました。

 

基本的にはネタばれを書いてしまうこともあると思うし(なるべくページごとに注意喚起をしたいと思います)、特に書評や、映画のプロというわけではないので、素人が好き勝手に感想を言っていると思って読んでくれれば幸いです。

(わたしはつまらないことで怒られることがまじで嫌いなので、「はは、てきとう言ってる」と面白がって読んでくれるのが一番いいと思います)