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資本主義の是非を突き付けられる。「レヴェナント: 蘇えりし者」。

※この記事にはタイトルの映画の内容に触れる記述があります。

 

「レヴェナント: 蘇えりし者」監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

レオナルド・ディカプリオが、アカデミー賞5度目のノミネートではじめて主演男優賞に輝いたことで話題になった「レヴェナント:蘇えりし者」。ちなみに監督もアカデミー賞2年連続で監督賞を取ってます。

舞台は西部開拓時代、白人と原住民族の対立やサバイバル生活を描きつつ、本筋は主人公ヒュー・グラスの復讐劇です。

 

復讐劇だけに留まらない、資本主義の是非を考えさせられる

目に見える物語の筋はとてもシンプルです。
シンプルな筈なのに、語られない部分でいろんなことを考えざるを得ないというのがすごい。

まず白人と原住民の混血である息子が、他人の自己利益追及のために殺されるというのが悲劇的。
多分心温まるヒューマンだったら、彼が白人社会と原住民社会を繋いで双方仲良くやりましたとさ、おしまい、って感じなんだろうけれども彼は殺されてしまいます。

そこからはヒュー・グラスのサバイバル。
白人社会と原住民社会の対比がよく出てきます。

白人側ではお金と契約の話がよく出てくる。仲間を探す人手を得るにも、食事にも、何にでもお金が発生します。
そして、厳しい自然環境下の野宿生活、白人の野宿のシーンでは鍋やテントなど、現代生活の気配がしますが、原住民の野宿シーンではそのような気配はないです。
そして厳しい環境との対比のように出る、砦。
屋根つきの家、火が燃える暖炉、あたたかなお湯、そういったものがふっと出るとわたしたちは安心してしまう。
そこでもうわたしたちはもう戻ることはできない、という気持ちにさせられる。

途中でてくる原住民は時に厳しく、時に神々しく、または無邪気に見えます。
降る雪を舌を出して食べる姿とラストのシーンは特に印象的。
そんな彼らを白人たちは騙し、利用し、時に殺してしまう。はたしてどちらが野蛮なのか?という問いが出てくるのは自然なことだなと思う。(まあ原住民たちもめっちゃ人を殺すんだけど)

 

自然光で撮られた映像も美しい。

美しい映像が血なまぐさいシーンを上手く中和させてます。

ディカプリオは台詞が少なく、ひとりの画面、特に顔を画面いっぱいにアップするシーンが多くて印象的です。

 

イニャリトゥ監督の作品を見たのははわたしはこれで3本目。(バベル・バードマン。レヴェナント)わたしが言うのも何様なんですが、どんどん良くなっていて、暗喩的な表現が素晴らしいんですよね。

 

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